音楽初心者の戯論

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徒然なるままに日々移りゆく音楽シーンを覗き見するだけのブログです。

現代におけるCDアルバムの存在意義とは何か

どうもこんにちは。

前回B’zの「SURVIVE」というアルバムについて触れた際、シングルとは違うアルバムの良さを綴りましたけれども、今回はそれからもう少し視野を広げて全体としてのCDアルバムのことを書いてみようかなと思います。


というのも昨今では音楽業界と関係ない僕のような人でもCDの売れ行き不調を認知しているくらい売上が落ち込んでいて、それが今後の音楽産業の最大の課題なのではないかと。

アーティストによってはCD化を諦めて配信に限定している方々もいますし、逆に配信は一切おこなわずCDの売上だけで勝負している方も少なからずいます。


ただ以前スガシカオさんがTwitterで「配信ではなくCDを買ってくれ」と発言したことが話題にもなりましたが、

www.j-cast.com

実際CDのほうが採算が取れるようなので、アーティスト的には配信よりもCDを買ってもらえたほうがいいのかもしれません。

その証拠に今やメーカーはAKB商法と揶揄されるようなCDに握手券を封入したり或いはCD購入者のみに特典としてライブのチケット申し込みができたりと、利益になる分だけCDにかける業界の想いはかなり強いのだと分かります。


ただ、これは音楽業界だけにとどまらずアニメ業界でもBlu-ray/DVDの売上に依存している現状があります。
YouTubeや海外サイトでの違法アップロードが横行、さらにはNetflixdアニメストアなど配信サービスも開始された今、どのように売上で利潤を得るかというのが論点として多く挙がっているようです。

もちろんアニメ業界も音楽業界同様イベントチケット優先申込券や撮りおろしドラマCDなどを同封したりと所謂「円盤商法」というやり方でその売上貢献に腐心していますが、そろそろこの手法も限界ではないかという声も上がっています。


音楽もアニメも、パッケージ化という点について同様の問題に頭を悩ませているようです。

 


ただ、だからといって双方の業界とも決して衰退しているわけではないのです。

aja.gr.jp

ここから統計データを参照していただければお分かりいただけるかと思うのですが、アニメ業界において全体的な売上は右肩上がりなんですよ。

これは単にアニメの製作本数がかつてよりも上がったからという理由だけではなく、消費者の消費傾向が変容しているんですね。

例えばアニメイベントだったり、ライブやミュージアム、更には劇場放映などの本数は年々増え、そしてそれに伴い売上も上昇。
この背景には「モノを買う」のではなく「コトを買う」という傾向の強まりがあると考えられます。

一般的に「時代は『モノ消費』から『コト消費』へ」と言われる所以なのですが、モノがありふれた現代において単に物品を購入するというよりは行動・経験としての価値、そちらのほうによりお金を費やす人が増えているという現状です。


もちろん音楽業界もそこに目を付け、今では音楽業界の収入源はライブやコンサートといった体験型へと推移しています。
そしてその体験に付随したサービス、例えばライブで使用するサイリウムだったりタオルだったり会場限定アクセサリーだったり、そういったものの売上が今の音楽業界を支えているといっても過言ではありません。

まぁひとえに音楽業界といってもメインとして「音楽レーベル」と「音楽事務所」があり、コンサートは事務所のほうに委ねられるのでレーベルは相変わらず大変なのでしょうが、しかし双方が連携することで(コンサート優先権などを封入することで)その売上は現状維持もしくは若干のプラスになっているところもあります。

 


さて、そうした現状がある中でアーティストが敢えてアルバム製作をする意味を今一度考えてみたいと思います。

CDアルバムと言えば「シングルが2~3枚くらいリリースされたあと、そろそろかなぁという頃合いを見計らってシングル含めた12曲くらいを一枚のCDとして出す」みたいなイメージが一般的だと思います。
というかこれは僕の勝手なイメージなんですけども(笑)


ただ、最近はCDアルバムというもののニュアンスが若干変わってきているのかなぁと思う節がありまして。

これは中山美穂さんに「You're My Only Shinin' Star」を提供したことで有名な角松敏生さんがとあるインタビューでおっしゃっていたことなのですが。

若いアーティストをプロデュースした時に「自分の好きなCD持ってきて」と言うと、何枚か持ってきて、「このCDの何曲目と何曲目が好き、こっちは何曲目」と言われるんですよ。「そのCD一枚が好きな訳ではないの?」ってね。だから、そういう聴き方になっているんですよね。「一枚のアルバムを名盤として聴く」という感覚は正直今はないですよね。

音楽は情報に変わった 角松敏生の提言、いま向き合う時間が必要 | MusicVoice | 2ページ目

配信が主流になったことで「一枚のアルバム」というものにアーティスト側があまり執着しなくなったのか。若しくは単にリスナーのあり方が変わり、そこにアーティスト側が合わせたのか、それは分かりませんがたしかにこのような流れは今あると思います。

 

特にこの傾向は若いアーティストに多い気がするのですが、タイアップなどの話が来てどんどんシングルを出したりしているうちに方向性みたいなものが定まらなくなってくると思うんです。

 

そして更に「自分たちの音楽」というものを模索しているうちに様々なものに挑戦しようとして、結果アルバムができたときにはいまいち統率感に欠けたものなってしまう、みたいなケースはままあるのではないでしょうか。


もっとも配信が主流になりつつある今、バランスのいいアルバムが本当に必要なのかどうかというのは一考の余地があるとも思います。

売上を考えアルバム全体のバランスよりも曲数を増やし、その分をライブやコンサート市場で生かすという手法もあります。
それに曲順を頑張って考えたとしてもリスナーがそれを無視してしまうのなら、そこに割く時間を減らしもっと別のことに時間を費やすべきだという考えも出てくるかもしれません。

 


こういったものは正解がないので「○○をすれば成功する」という保証がありません。

ただ僕個人の意見としまして、ゆずのやり方がいいのではないかと思ったのでちょっとご紹介。


ゆずといえば言わずと知れた日本のフォークデュオ。
1998年のデビュー前から路上ライブなどで注目を集め、現在も第一線で活躍しています。

特にコンサートでは路上ライブ時代に鍛えられたトーク力と凝った演出が専ら好評で、演出に関しては歌舞伎俳優の市川猿之助さんがゆずのコンサート演出に刺激を受け自身の演目に取り入れたいということがニュースになったほど。

www.daily.co.jp

これがですね、個人的にはかなり「良いんじゃないか」と思いました。


というのもゆずはアルバムごとに色がまったく違うんですよ。

2013年発売の「LAND」というアルバムでは儚くもファンタジックな世界観を、翌年の「新世界」では「どこか懐かしさを感じつつも新しい、ゆずにしか表現することができない音楽」をコンセプトにアルバムを製作していて、シングル曲を含めそれが見事に収まっているんです。

もちろんそれ以前、以降に出したアルバムでも同様の「らしさ」があります。この「らしさ」とは「ゆずらしさ」に加え「そのアルバムらしさ」、それぞれの曲が1つのストーリーとして体系化していくような、そんな印象がどのアルバムにもあるんですよね。

そしてゆずの強みはそれを「コンサートで再現する」ことだと思うんです。

アルバムの色や風景、景色を、リスナーの思い描いたスケールそのままに演出として再現していく、一種のアミューズメントパークのような空間がゆずのコンサートにはあるんです。

www.youtube.com

だからゆずのコンサートは「体験型」としてただのコンサート以上の価値があり、結果として動員数が増えているのではないかと、個人的にそう推測しています。


ただこの手法はベテランだからこそ為せるものだと思うので若手にいきなこれを求めるのは酷なことだと思いますが(笑)、少なくともゆずはアルバムで打ち出した世界観をコンサートで表現するというやり方で成功しました。
少々語弊が生じてしまうかもしれませんが、彼らにとってCDアルバムは「本の表紙」で、コンサートでその中身を味わうという感じでしょうか。

うまく表せなくて申し訳ないです。

 

ただ、この他にもCDアルバムの可能性は大いにあると思います。

この先どんなに音楽業界が衰退しようとも音楽だけは絶対になくならないと思いますので、未来のミュージシャンの方々には新しい可能性を模索していってもらえればと。(他力本願)


というわけで今回の記事はこのあたりで留めておきたいと思います。

 

それではまた次回! 

 

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